ワンちゃんの7〜8歳あたりは、ライフステージの変わり目。
「シニアになったら、ご飯は変えたほうがいいですか?」というご質問も、多くいただきます。
必ずしも変える必要はありませんが、今の食事を “見直す” タイミング。
この記事では、シニア期の食事管理のポイントを獣医師が解説します。
タンパク質は適量?
タンパク質は筋肉維持に大切ですが、運動量に見合わない量を摂ってしまうと身体の負担に。
ドッグフードに含まれるタンパク質のおおよその目安を計算で求めることができます。
今食べているご飯のタンパク質は適量なのか、下記を参考に確認してみてください◎
▼パッケージの保証分析値から求める方法
タンパク質の% ÷(100-水分の%)×100
例えば、タンパク質 27%、水分量 10%のドッグフードの場合。
27% ÷ (100-10%) × 100 = 30%
タンパク質は乾物あたり30%(平均〜やや高め)
また、あくまで“個人的に”ですが、乾物あたりのタンパク質が 25~30%(平均的)、30~35%(やや高め)、35~40%(高め)と判断しています。
室内で暮らしていて特に運動量が多くない場合、タンパク質が40%を超えるドッグフードは摂りすぎになってしまうかもしれません。
水分は摂れてる?
シニア期は脱水になりやすいので、水分をとってもらう工夫が必要です。
いつでも新鮮なお水を飲めるようにして、スープや茹で汁をトッピングしたり、ウェットフードの活用もおすすめです。
水分不足は尿石症のリスクにもなるので、特にドライフード(カリカリ)を食べている子ではより意識しましょう。
カロリーは適切?
「体型」や「食欲」に合わせてカロリーを見直せるとベストです。
ドッグフードのカロリーの目安は、
- 低カロリー ▶︎ 340 kcal/100g 以下
- 高カロリー ▶︎ 380 kcal/100g 以上
食欲旺盛な子は、量をたくさん食べられる低カロリーなご飯。
少食の子は、少ない量できちんと栄養がとれる高カロリーなご飯がオススメ。
食べすぎない
シニア期のワンちゃんは、今までと比べると代謝が落ちてしまう傾向に。
あばらは触れるか?くびれはあるか?、
愛犬の体型チェックを欠かさず行うようにしましょう。
また、おやつやトッピングを与えすぎていないか定期的に見直すことも大切です。
オメガ3脂肪酸をとる
オメガ3脂肪酸は、シニア期に多いトラブルの改善に役立つ栄養素。
心臓病や関節炎、認知機能の改善などが期待されています。
中でも、抗炎症作用などの報告があるのは『EPA&DHA』
サプリであれば「アンチノール」、手作りごはんであれば「サーモンオイル」などに含まれており、普段の生活で活用しやすいです。
ちなみに・・・
亜麻仁オイルも同じく”オメガ3”脂肪酸を多く含みますが、EPA&DHAにはほぼほぼ変換されません。
我が家でも亜麻仁オイルは使っていますが、期待する働きはそれぞれ異なるので偏りなく活用することが大切です◎
抗酸化成分も意識
酸化ストレスは、身体の老化を促進します△
抗酸化作用のある成分を強化した食事を食べていた群では、認知機能が改善したとの報告も。※1
※1
参考文献:Oxidative Stress, Aging and CNS disease in the Canine Model of Human Brain Aging
(Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice)
シニア期用のドッグフードでは、抗酸化成分が強化されているものもあります。
ビタミンEやβカロテンなどの抗酸化成分はお野菜からも手軽に摂れますので、ぜひ意識してみてくださいね◎
まとめ
一般にシニア期の目安は『7歳』以降とされていますが、だんだん落ち着いてきた子や、まだまだやんちゃ盛りな子まで年齢の重ね方はその子によってさまざまです。
年齢はあくまで数字!
…ではありますが、一つのライフステージの区切りとして、ぜひ今の食事内容を見直すきっかけにしてみてくださいね。