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犬が太ってしまう原因とは?肥満に潜むリスクを獣医師が解説

コラム
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肥満は「病気のリスクがある状態」ではなく「病気」です。
太ったまま放っておいてしまうと、ワンちゃんの健康に悪影響を与えてしまう可能性も。

この記事では、太ってしまう原因とリスク、ダイエット方法について獣医師が解説していきます。
簡単にできる肥満度チェックもあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「太る」の基準

肥満かどうかを判断するために、チェックするポイントは2つ!

  • 体重
  • 見た目と触り心地

体重

ワンちゃんでは一般的に、適正体重の15%を超えてしまったら「肥満」と判断します。

小型犬・中型犬の場合、身体の成長が落ち着いてくる1歳のときの体重が適正体重とされています。
(大型犬だと2歳くらいまで成長が続きます。)

「体重なんて覚えていない…!」という飼い主さまは下の方法をチェックしてみてください。

見た目と触り心地

ワンちゃんの体型を見た目から判断できる指標がボディコンディションスコアです。
5段階にわけて評価していて、真ん中の「3」が理想体型

こちらは体重を測らなくてもチェックできるので、お家でも手軽に行えます。
チェックするべきポイントは2つ!

くびれ

ワンちゃんを横・上から見たときにくびれが見えるかどうか。

肋骨(あばら骨)

ワンちゃんを触ったときに肋骨がわかるかどうか。

もしも、くびれがなかったり肋骨が分かりにくかったら「肥満」の可能性あり!
環境省のHPに詳しく載っているので確認してみてくださいね。


(引用:環境省|犬のボディコンディションスコアと体型

太ってしまう原因

食べ過ぎ

原因で一番多いのが、「カロリーの摂りすぎ」です。

とくに、『おやつ』のあげすぎには要注意!
私たちは少しだけあげているつもりでも、小さなワンちゃんの身体には過剰なことも。

おやつの量は、1日の必要カロリー量の10%以内が推奨されています。
与える際には量を注意して、カロリーオーバーにならないように気をつけましょう。

また、意外にもドッグフードの量にも注意が必要です。

「給与表通りにあげているのに太ってしまった」というご相談が多いのですが…
実は、『給与表は目安』として使うのが正解です!

同じ体重でも、運動量や体質によって必要なカロリーは異なります。
まずは給与表通りにあげてみて、ワンちゃんの体型に合わせて調整しましょう。

病気の可能性

  • 食事量は同じなのに太ってしまった
  • 以前より食欲が増えた
  • なんとなく元気がないような気がする

こういった場合は、

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患(ホルモンの異常)が隠れていたり、心臓や肝臓などの病気で太ってたように ”見えている” 可能性も。

発見が遅れてしまうと命に関わる病気が隠れている場合もあるので、当てはまったらすぐに動物病院に相談しましょう。

お薬の影響

ステロイド薬・抗ヒスタミン薬・抗てんかん薬など、食欲亢進作用のあるお薬を投薬中のワンちゃんでは、副作用として太ってしまうことがあります。

避妊・去勢手術

避妊・去勢手術は、望まない妊娠を避けるためだけではなく、性ホルモンによるストレスやマーキングの改善、将来の病気の予防ができるといった重要なメリットがあります。

しかし、「体質が変化して太りやすくなる」という特徴も!

手術によりホルモンバランスが変化すると、約30%ほど基礎代謝量が落ちてしまい、同じご飯の量でも太ってしまう可能性があります。

また、食欲も増加してしまうので、避妊去勢後のご飯の与え方には注意が必要です。
カロリーが抑えてある太りにくいフードも発売されているので、フードを見直してみるのも選択肢のひとつ。

肥満のリスク

肥満のワンちゃんでは寿命が短くなることがわかっています。

海外の研究で、適正体重と肥満のワンちゃんのそれぞれの寿命を比較したところ、肥満のワンちゃんでは約2年も寿命が短かったと報告されています。※1

この研究は、チワワなどの小型犬からラブラドール・レトリーバーなどの大型犬まで含まれている大規模な調査なので、太ってしまうとどの犬種でも寿命が短くなるリスクがあるということが考えられます。

※1
参考文献:Association between life span and body condition in neutered client‐owned dogs
(Journal of Veterinary Internal Medicine)

呼吸器の疾患

太ってしまうと、増えた脂肪が首周りを圧迫することで息がしづらくなり、呼吸器疾患のリスクが高まります。

関節の疾患

体重増加により関節に負担がかかり、変形性関節症(関節炎)を引き起こします。

関節炎で歩けなくなったワンちゃんが痩せると元通り歩けるようになった例もあるほど、足腰には負担がかかっています。

この他にも、尿石症などのおしっこトラブルを起こしやすくなったり、糖尿病や膵炎、皮膚疾患など
様々な疾患との関連も報告されています。

ダイエット方法

運動

とくに運動不足のワンちゃんでは、散歩や遊びの時間を増やすことも大切です。
ただし、関節に負担がかかっている子が多いので無理な運動は禁物。

運動は筋肉を維持して「基礎代謝」を落とさないことが目的なので、食事管理とあわせて実施しましょう!

食事管理

食事の量を守る

ダイエットで重要なのは、必要以上のカロリーを摂らせないことです。

「おやつのあげ過ぎ」によって太らせてしまっている場合が多いので、1日のカロリーの10%以内におさまるようにおやつの量を減らしてみましょう。

どうしてもあげたい場合は、主食のドッグフードから数粒あげたり、知育おもちゃに入れて遊びながらあげるのがオススメです。

カロリーオーバーにならないよう、しっかりと調整してあげましょう。

ダイエットフードに切り替える

食べるのが大好きなワンちゃんに一番オススメの方法!

ダイエットフードは、カロリーが低く設計されているので食事の量を減らさずにダイエットできます。

うんちの量が増えることがありますが、これは食物繊維でカサ増ししているためです。

突然食事を変更するとお腹を壊してしまうワンちゃんもいるので、前のフードと混ぜながら1週間かけて行うと安心です。
愛犬の状態を見ながら変更していきましょう。

定期的に体型チェック

ダイエットは、1週間に1〜3%体重を落とすことを目標に行います。

例えば、10kgの子なら1週間に0.1〜0.3kg減らせれば大成功!

短期間に痩せさせようとするとワンちゃんの体に負担がかかってしまうので、”徐々に”減らすことを意識しましょう。

まとめ

日本のワンちゃんの半分以上は、「肥満」とも言われています。

ポッチャリの状態はかわいく思えてしまいますが、病気を引き寄せるだけではなく、足腰に負担がかかったり呼吸がしづらくなったりと愛犬に辛い思いをさせてしまいます。

愛犬を守れるのは飼い主のみなさまです。
この記事を参考に、太っていないかどうか日頃からチェックしてみてくださいね。

獣医師まなみ

獣医師。元ペットフードメーカー勤務。
先代犬との介護生活でごはんの大切さを痛感し、食事管理を学ぶため大手メーカーに勤務。動物病院やペットオーナー向けの栄養学セミナーや相談会の経験を活かし、現在は企業様向けのレシピ提案・監修、飼い主様向けの個別サポートを行なっています。

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